具体的な症例

 

ここでは具体的な治療例により、治療の効果、過程を知って頂こうと思います。
患者様に許可を得て掲載しております。

 

 

 70歳 男性

 腰痛、心臓神経症

 奥さんを7年前に糖尿病の合併症で亡くされ、一人暮らしをしている。スポーツジムで筋トレ中に腰を痛め、昔使っていた腰痛治療器具を使ったところ悪化、洗濯などの日常生活もままならなくなる。電話帳で調べ来院。

 腰痛は週2回の治療を2週間続けたところ、日常生活には支障が無い位まで回復した。ところが、その頃になってから患者さんが「家から出ると10m位歩いたところで心臓がドキドキし始め、座ってやすまざるをえなくなる、暫く休むとまた10m位歩ける」話始めた。病院で検査をしたが、特に異常は無く原因は判らないとのこと。いわゆる心臓神経症と思われた。

 東洋医学の理論に則り、心臓の経絡に属する穴(ツボ)に治療を施し、自宅でお灸の指導をすると患者さんは毎日真面目に行い、結果、週2回の治療を3週間行ったところで、400メートル先の駅まで往復出来ようになり、その後、念のため5回治療をし、調子が良いのでとりあえず治療を終了し、自宅でもう少しお灸は続けるよう話た。

 

コメント東洋医学では心臓と肝臓は精神、情思活動に密接な関係に有ると考えています。おおまかに言いますと、肝臓はどちらかというと単純な精神的ストレス、内なる怒りの感情による症状に、心臓はもう少し複雑でシリアスな精神の症状の時に、まず念頭に置かれます。

 


 

 39歳 男性 会社員 


  腰部脊柱管狭窄症

 

 精密機械の点検で、重い荷物を持ち移動することが多く、また仕事も休みは少なく 数年前より腰の重い痛み、腰から足に痺れがあり病院で検査したところ腰部脊柱管狭窄症と診断された。 最近になり足先にピクッ、ピクッと痙攣の様な症状も出てき始め、痺れと筋力の低下が酷くなり階段は手すりがないと怖くて下りられなくなった、また尿意を感じて我慢できる時間がとても短くなった。 病院での画像検査ではそれ程進んでいないといわれた。知人に薦められ来院。 1回目の治療後、ベッドから起き上がると同時に、「よく判らないけど、軽くてよい感じがする」「痺れはとれた」と言って帰宅する。 2回目の治療時、前回治療後の帰宅時から階段は手すり無し、普通に真ん中を上り下り出来るようになった。 腰の重さ、足の痙攣は殆どなくなり尿意を感じてからも我慢出来るようになったとのこと、2回の治療で本人は効果に満足した為、治療修了。この患者さんは3年経過して足の筋力低下が出たため来院、2回の治療で改善しています。

 コメント:腰部脊柱管狭窄症の患者さんは当院では多く来院されます。ですがこの症例の様に1回で劇的な効果が出るのは稀なケースです。1回で劇的な効果が出た要因として①画像検査では圧迫はさほど酷くない。②肉体的な疲労が積もりに積もっている。 ③もともと東洋医学的に氣穴の流れに失調を来たしやすい体質を持っている。このような条件から肉体的、精神的な疲労から氣穴の流れに失調をきたし、それが腰部脊柱管狭窄症の病能と絡み症状の悪化がみられていたが、臓腑の失調が深部には至っていなかったと考えられます。 仮に同じレベルの症状が同じ年齢の男性で腰部脊柱管狭窄症のみで出ている場合、最初10回を1ターンでみていき、効果を見ながらその後を決めていきます。

 

 


 50歳 女性 ヴァイオリニスト


  肩鎖関節炎


 40代半ばごろに胸鎖関節炎になり整形外科を受診する。ヴァイオリンの演奏による酷使が原因とされ消炎鎮痛剤を渡されるも大きな効果は得られず、長期演奏を止めるわけにもいかず、多くの整形外科を受診するも消炎鎮痛剤を渡されるのみで困っていたところ、知人の薦めで来院。1回目の治療で大きく改善、肩背部も非常に硬く、また右肩も調子が良くないとのことなので治療し、5回集中的に治療し、その後体調管理の為、定期的に来院。現在も大きな故障はなく良好な状態を保っている。

コメント: 使いすぎによる関節炎、腱鞘炎には鍼灸治療は非常に良く効きます。酷ければ酷いほど1回目の治療で大きな改善が得られます。痛みの全く伴わない治療方ですので、症状をお持ちの方はぜひ治療を受けることを御奨めします。 楽器演奏による故障は根本的には演奏方法の見直しが必要なようですが、悪化した症状には鍼灸治療は非常に有効です。



 

 

 50歳 女性 主婦・自営業 

 更年期障害

 二人の幼い子供の育児と、夫の仕事とは別に自分で会社を経営、実家が近い為、育児は親に手伝ってもらえる。
8月中旬に来院、2~3年前から疲れやすく病院で漢方薬を処方してもらい服用している。ここのところ仕事でずっと忙しく休みがとれなかった。
1週間前から咳がひどく、4日前いつも通りの量の飲酒をし就寝。すると次の日、咳がさらにひどくなった。微熱とボーとした感じが続いている。昨日から軽い眩暈がする、視野がまぶしく感じる。30代の時にギックリ腰をしている、それ以来、腰と肩が痛い。
この日はとくに首と肩がつらくなった。昔から鍼灸には興味があったが、不安もあり、行った事がなかったが、
仕事場が近く治療院の前をよく通るので来院っした。
その他の情報
睡眠は8時間はしっかり取っている。便通は特別問題は無い。最近、物忘れがひどい、寝汗をかく.

更年期障害に疲労と夏風邪がからんでいる状態とみられた。
1回目の治療は人生初の鍼灸治療のため少なめの治療を行った。
4日後に2回目の治療で来院し、熱、咳、首と肩はかなり楽になった。めまい、視野の眩しさは無くなったとのこと。この時、過去に股関節の手術をし、疲労時や就寝後に痛くなることがあると言い、股関節の治療も行った。結局、6回集中的に通い、全ての症状が改善しアルコールも普通に飲めるようになった。一月後、少し肩がこることと疲れが取れないことを理由に来院、そのまま翌年の1月末迄来院は無かったが、インフルエンザにかかり治った後も体調不良と関節、腰の痛みが酷く来院、インフルエンザに罹るまでは近年に無い位、調子が良かったとのこと。5回集中的に治療し、治癒。その後、体調管理のため月に1度位の感覚で来院するようになる。

コメント:鍼灸院ではよくあるタイプの更年期障害の患者さん例です。この患者さんは睡眠、食生活、家庭の人間関係が良好なようなので、非常にすんなりと治療がすすみ、良い生活へと戻ることが出来ました。睡眠、食生活、精神的に大きなストレスなどがあると、完全に良くはならなかったり、治るのに大幅に治療回数が増えたりすることも有ります。それは東洋医学では精神と身体、病密接な関係にあり、精神の大きな変化が身体に影響をあたえ、また身体の変化も精神に影響を与えると考えており、とくに肝臓、心臓、脾臓に影響が出やすいと考えています。
昔は伝染病が最大の致死病でしたので鍼灸、漢方薬は元々は伝染病、感染症に対する医療でもあります。現在は西洋薬・ワクチンの方が確実ですが、慢性化した症状、風邪をひき易い体質の方には鍼灸治療は非常に有効です。
東洋医学的に見るとこの患者さんは根本的には肝臓と腎臓に失調をきたし易く、そこに時により脾臓か肺の失調が加わる事が多い患者さんでした。更年期障害(男でも女でも)の患者さんは肝臓に病能がある場合が殆どです。肝臓は東洋医学では疏泄を主さどるとしています。疏泄作用とは氣血を全身に淀みなく隅々に行き渡らせることを言います。更年期障害では、この疏泄の失調により氣血の供給が滞り、疲れがとれない、気力が出ない氣血の流れが欝滞しイライラ、のぼせ、睡眠障害などの症状が表れます。またその他の臓の失調が絡むと複雑な症状を呈します。盗汗とは寝汗のことで、なんらかの原因で気虚が起きている証拠です。健忘は腎虚によくある症状です。昔の怪我、手術をした場所の痛みに対しても鍼灸治療は非常に効果が有ります。






53歳 主婦 

 自律神経失調症、肩、肩甲骨周辺を中心に全身の重だるさなど


数年前より肩、肩甲骨周辺を中心に全身の重だるさ、全身の疲労感、イライラ。寝付きが悪く、入眠時、般若の顏が部屋を飛ぶ幻覚を見る、抑鬱感、手足の冷え、汗をかき易く、じっとしていてもかいている事がある、便秘、痔などの症状がある。夫と二人の息子(成人)の世話で早朝5時~6時から夜12時過ぎ、遅いと夜中の2時まで起きている。
患者さんと生活状況の改善を話すも現在の生活状況は変えられないとの為、健康な状態までは戻せないまでも、出来る限り良い方向と持っていくことにし、同意を得た。
1回目の治療後、治療直後は「少しポカポカと暖かくなった氣がする、肩から背中にかけて少し楽になった」と言い、2回目治療の時に前回治療した日の夜から、寝る前の般若の幻覚は見なくなり、スムーズに寝付けるようになったとのこと。鬱病と思われる症状もあるので精神科受診を進める。
数回治療を続け、「以前より頭がハッキリしてきた」と言い、便秘、痔、手足の冷え、汗をかき易い体質も以前よりは調子が良くなっているとのこと。
肩、肩甲骨周辺を中心とした重だるさは以前と比べるとはるかに楽ではあるが未だ重さは有る状態。精神科で鬱病の治療も受けている。現在も隔週の治療を継続中。

コメント:もともと肝臓と脾臓を病みやすく、疲労、更年期障害が重なり、それが長期続きし病能がだんだん深部まで及び始めた状態とみられ、それとは別に鬱病の症状もみられました。
肩背部を中心とした重だるさ、イライラ、手足の冷え、便秘は脾臓の失調が主な原因に肝藏の失調による気血の欝滞がからみ起こっていると考えられます。脾臓の失調によって直腸部に膝熱が起こり痔、心脾両虚により入眠時の幻覚が発生していると考えられ、それに元付き治療を行い効果を得られました。鬱病も併発しており、その不随症状である肩や首のコリに疲労が重なり治療を続けているが、生活の改善が出来ない為、完治は出来ていない状況です。睡眠時間が短いのですが、どうにも出来ないとのため現在、治療を続けながら息子の完全な自立を待っている状態です。当院では鬱病に対しては精神科に通いながら鍼治療を受けることを奨めています。

東洋医学について簡単に解説東洋医学では臓器(心、肺、脾、肝、腎の五臓)を単なる器官とは考えず、生理、病理、精神活動に密接に関わり、病を診る時に中心的働きをするものと考えています。心臓、肺臓、脾臓、肝臓、腎臓の五つがあり、それぞれバランスをとり、支え、また働きを抑制しあっていると考えています。現代医学でも臓器を、ここ日本では同じ名で呼んでいますが、共通することも多いのですが(だから蘭学を訳す時に使われた)必ずしも同じではありません。また臓器に対する概念が東洋医学と西洋医学では大きく違うのです。

 


 

68才 女性 主婦・自営業手伝い  

 怒り易い、肩背部のコリ


数年前より肩背部のコリ、感情のイライラで3~4ヶ月ごとのペースで来院、治療。歳と共に疲労が溜まり易く、症状も酷くなってきた。今回は肩背部のコリよりイライラが酷くなり感情がコントロール出来なくなり来院。触診したところ、本人にはあまり自覚がないが肩背部は骨と筋肉の区分けがつかない位硬く、酸味のある口臭があった。1回目の治療でイライラはかなりなくなり、肩背部のコリもある程度改善する。4回の治療で調子は良くなり口臭も消えた。これを期に生活に自分の体力が追いつかなくなっていることを自覚され、仕事の量を調節し、週一回の通院をされるようになりました。

コメントイライラの症状は東洋医学では、まず肝臓に問題があることを疑います。肝臓は疏泄(ソセツ)をつかさどるとされます。ソセツとは氣血を全身に隅々まで淀みなくいき渡せることで、ソセツの機能が失調すると氣血の流れが欝滞しイライラへと繋がります。また肝臓は筋肉とも密接な関わりがあると考えており、肝臓の失調では肩・背部のコリの症状はよく現れる症状です。イライラというと更年期障害を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際はほぼ全年齢、男性にも出現します。

東洋医学の簡単な説明:東洋医学では肝臓について疏泄、蔵血を主ると言われています。疏泄機能が失調すると気血の流れが欝滞し様々な病能を引き起こします。蔵血機能が失調すると筋肉のツレや拘急、手足の痺れる様な症状です。手足の痺れが有り神経学的病因が無い場合、肝臓の蔵血機能かその他血の失調を考えます。

その他、肝臓の失調でよくある症状:怒り易い、筋肉に起る異常、目の緒症状、月経不順、顔面部のほてり、胸脇痛など

 



 



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